やらずに後悔するよりも
花物語を見た。若干ネタバレになる気がしないでもないので、読む際はご注意いただきたい。
劇中、準ヒロインの神原は、かつてのライバル沼地に対してこう問いかける。
「やらずに後悔するよりも、やって後悔した方がいい、という考えについてどう思う？」
これに沼地は即答した。
「負け犬の遠吠えだ。やらずに後悔した方がいいに決まってる」
記憶頼りなので詳細はご勘弁いただくとして、沼地のセリフに神原は首肯する。なぜなら彼女自身も、取り返しのつかない後悔をしていたから。大好きな先輩を殺しかけてしまう。やってしまった後悔の味を知っているからこそ、件の台詞を吐くような人間を「無責任な第三者の言葉だ」と断ずる。
これは一考に値するアニメだと思った。もしもあなたの手に包丁があり、目の前に大嫌いな相手がいたとする。そのときあなたは「殺って後悔」すべきか？ ダメに決まってる。必ず後悔するし、捕まる。刑務所の中でも後悔しないのだとしたら、そもそも人生の選択を誤っているのだ。過ちを認めたくない、その一点だけで回りまで不幸をばらまく。
負ったリスクに比例するほどの人生の好転は望めない。「やって後悔すべし」という考え方は、かくも危うい。
ビジネスは選択の連続であり、人生は後悔の連続だ。やらずの後悔は挽回可能だが、やって後悔した場合は取り返しがつかない。どんなに美人の客から色目を送られても、ヤッたらたらダメなのだよ店長。後ろにはチンピラが控えていて、最後は会社にケツを吹いてもらうしかないのだよ。
となれば、やはりやらぬが吉か？
いや、やはりこれは違うだろう。客に手を出すべきだという意味ではなく、失敗を想定した場合の選択ならば、すくなくとも「後悔」という要素は消える。取り返しがつくのだ。
ただし、エイヤと無為無策で突っ込むことは、三食昼寝つきで後悔サンを招き入れる行為に他ならない。失敗を想定し、挽回するプランを用意することで、ビジネスは先へ進める。人生は少し明るくなる。
神原のセリフはこう続く。
「一番いいのは、やって後悔しないことだ」
んな簡単じゃねえよwww