Re:ゼロから始める異世界生活の感想【ネタバレあり】

オタク

第三話まで見て放置していました。仕事の進捗を見ながら少しずつ見進めようとしたら、やっちゃったね、全話完走10時間、当然徹夜。Amazonプライムビデオは途中で止められないのが辛い。

推奨くださった椛田さんにお礼を言うと共に、これほど面白い作品を途中で止めていた自身の不明を恥じたいです。

思いつくままに感想を書いてみます。その後のストーリーを一切知らないのでトンチンカンな部分も多々あるかと思いますけど、ねっとりスルーしてください。本作を見ていない方には全く意味が分からないかと思いますので、こちらも華麗にスルーしてください。

 

ナツキスバルの問題点

なぜ3話で止めていたかというと、主人公スバルの性格についていけなかったから。実世界で引きこもりやってる人間が、いきなり異世界へ飛ばされた。さあ大変だ、というところなのに、高い運動スキルと異様なほどのコミュニケーション能力を発揮する。もちろん女性に対しても臆面なく会話する。

・・・ありえんだろ。

おそらく多くの人と同じ感想を抱いた。

今になって思うと、スバルには何の実力もない。頭は良くないし、武芸に優れているわけでもないし、冷静な判断力も機転も、独自の発想力もない。つまり、自分の力と変化した世界に折り合いを付けられなかっただけだ。いきなり土俵際まで追い詰められてのハイテンションだったと考えれば納得がいく。

物語の進展に従い、スバルはむしろ欠点をさらけ出していく。

すぐ視野狭窄となり独善的になる

持ってるんだから少しくらい分けてくれと考える

努力するフリして「頑張ってる俺」を演出し、同情を買おうとする

上手くいかないと他人のせいにしてキレる

自分を被害者の側へ置く

ああ、お見事。

これ、見事に引きこもりニートの思考回路そのものだよ。

 

リゼロ世界のルール

転生後の世界はスバルに数々の試練を与える。試練を突破できず死亡すると、数日前(本人曰くセーブポイント)へ戻され、再び同じ試練を繰り返す。もちろん時間遡行できるのは本人だけだ。

しかし、アニメとはいえ、リゼロ世界は明確なルールを持っていた。

 

徹底してギブアンドテイク

何かを与えれば必ずリターンを得られ、何かリターンを得ようと思ったら何かを与えねばならない。スバルの持っているものは携帯電話とお菓子、あとは自分の体だけ。

 

自分のためにかいた汗は認めてもらえない

頑張ってるアピールは見抜かれるし嫌われる。これは実社会でも嫌われるが、リゼロ世界では、時に唾棄すべき愚か者として徹底的に叩かれる。

 

他人のためにかいた汗は必ず報われる

一方、誰かのために頑張ると必ず報われる。極めて返報性の高い世界となっている。引きニートであるスバルは、他人との関係性に慣れていないため、「あの人のため」と思い込んで視野狭窄へ陥り、自分勝手な行動をとり続ける。

 

全員がピュア

この世界の人達は皆、裏切らないし騙すような嘘もつかない。見栄も張らないし他人を恨まない。驚くことに敵ボスであるペテルギウスでさえ嘘をつかない。

 

スバルだけが汚れている

一方で主人公は、裏切るし、約束を破る。見栄も張るし、他人を激しく恨みもする。人間の汚い面を持っているのは、なんと主人公だけなのだ。

 

エミリアを罵倒するシーンで、スバルはとんでもなく醜い表情で描かれていた。この醜い顔こそが本作のラスボスであろう。13話から16話こそリゼロの神髄かと思う。特に15話は神回。心に深く刻み込まれた。もはや芸術と言っていい。

 

世界の描き方で感心した点

フラグを回避

時間遡行を繰り返すことで、本来なら絶対死なないキャラが死ぬストーリーを組んでいる。主人公、ヒロイン、準ヒロイン、みんな死ぬ。逆に死亡フラグを立てたキャラが生き残ったりもする。

 

閉じた世界

スバル登場前の世界は未来のない、閉じた世界となっている。終わる世界、とでも言おうか。スバル登場時点でエミリアは領主の世話になっており、魔女教の襲撃は確定している。領主側は防御する術がなく、エミリアの惨殺も確定している。つまりパックの暴走も確定しており、世界は氷に包まれ滅亡することも確定している。

 

スバルが無意識に打ったホームラン

開ける世界

スバルは真の敵(自分自身)と戦い勝利することで、無意識のうちに閉じた世界を救った。そう考えると、スバルを何度も時間遡行させた者は、閉じた世界を切り開くためにやったのか?と思ったりもする。

 

命の価値ギャップを利用した

スバルにとって、自分の命は、他者にとっての他者自身の命より安い。何度もやり直せるからね。ここに為替のようなギャップが生じる。疑心暗鬼の相手に対して「俺も一緒に闘う」と宣言した場合、生き返ることを知っている自分と、死んだら終わりと思う相手とでは、覚悟の度合いに大きな開きが生まれよう。相手はスバルの覚悟を実態より高く見積もってくれるのだ

 

時間遡行を言わなかったこと

時間遡行できることを他者へ伝えてしまうと、スバルの「命がけ」は「保険付きの命がけ」ないし「自分だけは助かる命がけ」とバレてしまう。これでは誰も彼を信用せず、上述した「命の価値ギャップ」のメリットを消失する。バレた後にセーブポイントが設定されてしまったら、どうにもならない無限ループとなっただろう。

 

現実世界へ置き換えると

引きこもりニートは間違う

リゼロで注目すべきは、スバルの素の能力では「一発目で正解へ辿り着けない」ということ。素行を繰り返し、未来を知って初めて突破できる。何の才能もない人間が成功しようとすれば、1ヶ月足らずで10回以上も時間遡行せねばならない。自分だけの考えでは必ず間違う。

 

引きこもりニートは信用を得られない

作中でスバルは独りよがりな行動をとり続けて反省しない。何度も死に、大切な人を殺されても分からない。「バカは死ななきゃ治らない」の果てに、相手の抱える不満や不安、課題を知ることとなった。その後、胸襟を開いて語り、問題を一緒に解決して信頼を得た。

 

人生の答えは一つだけ

時間遡行できぬ限り、人生はハッピーエンドをつかみにくい。その時答えは一つしかなく、パックがエミリアへ言ったように、また、スバルが体を張って示したように、「好きに生きなよ」。

 

ナツキスバルとは何者だったのか

大罪人であること疑いない。怠惰であり、傲慢であり、憤怒に任せ、嫉妬に狂い、強欲ですらあった。「あなた怠惰ですね?」というペテルギウスの言葉はまさにその通り。王の資質を持つ者達がスバルへ与えた罵倒に比べれば、ペテルギウスの言葉はよほど優しい。そう。引きこもりニートは大罪人なんだよ。経験者が言うんだから間違いない。

 

気になったキャラ

ペテルギウス

忠誠を誓った相手から捨てられてもなお、忠誠の証である聖書(福音)を捨てなかった。最終的には敗北するものの、覚悟と執念は全キャラを圧倒した。世界の特異点であるナツキスバルさえ登場しなければ、準備と行動力で目的を達成していたはずだ。あの世界で生きるならペテルギウスがいい。信仰に生きるのは、精神的に楽だから(怠惰な発言)

狂ったスバルを演技だと見抜き、同情を買いたいだけだと断言したのは格好良かった。

 

レム

問題は彼女ですよ。

実は私。あれだけ女性キャラが登場する中、「俺の嫁!」と感じるキャラはいなかった。薄い本的な意味ではなくね。世間的にレムは一番人気なのかな。それは分かる。あんな地獄を体験した後に、あんな天使のような告白をされたら、私だって「一緒に逃げよう!」と言いますわ。というか、一番人気と知っていただけに、彼女の手によって殺されるシーンはほんまビビった。

ただおそらく、スバルとレムの生活は共依存を招きますよね。全てを受け止めてくれるがゆえに、スバルはレムへ依存する。「スバル君も勉強して働いて~」と言ってたけど、それはまさに現世で彼ができなかったことだ。そしてレムは既にスバルへ依存しており、彼の成長を止めてしまう。

せめてレムが武芸からっきしならば、スバルの成長余地もあるんだろうけど・・・。例えばゼロの使い魔では、ルイズが肉弾戦に弱いこともあり、サイトは自分を鍛え上げたよね。

 

レム「すしざんまい!」

 

・存在意義を教えてくれた人に尽くす

・溢れる母性(完全なる容認)

・生い立ちの悲劇性

・限定的だが高い能力

こういった要素を持つキャラは男受けしやすいですし、ヒロインのエミリアもこれらに含まれるんだけど、レムはその全てにおいて上位互換だった。しかも料理好きでメイド服という加算要素まである。さらにあんな長尺の告白を入れちゃったら、完璧だ。完璧すぎた。

それゆえ私はレムをあまり好きになれませんでした。・・・好きになれないというと語弊があるな。めっちゃ可愛いし素敵だしチートだし。おそらく、彼女を通して自分の薄汚さが際立ってしまうから好きになれない、のかも。

告白の内容が具体的だったがゆえに、あ、俺、この娘と結ばれたら、絶対働かなくなる、でもってプライドばかり肥大して暴力を奮うかもしれない・・・と怖くなりました。

 

まとめ

とまあ、ダラダラとクソ長く書いてしまうほど、面白かったわけですよ。なんつったって、各回の「引き」が尋常じゃなく上手い。そら0時から朝10時まで徹夜で見ちゃいますって。リアルタイム放映だったら次週を待てず発狂しそう。

なお、私は小説を読んでいませんし、アニメも一度しか見ていません。上記考察は的外れになっている可能性が極めて高い。いわば、時間遡行する前のスバル状態です。そこんとこヨロシク。

オタク

Posted by ボンペイ吉田