ボン感・岐阜方式 県内一斉脱等価への道

ホール, ボン感, 業界ネタ

便宜上「岐阜方式」とします

・いわゆる特殊景品のことを商品と書きます

・分かりやすさを重視し、砕けた表現で書きます(例・○○となります → ○○となるわけさ)

・岐阜県のホールはほぼ、岐阜県社会福祉事業協力団体連合会傘下の協力会の商品を運用しています

・本記事の内容は、岐阜県遊協に確認を取ったわけではありません。間違い、勘違いは確実にありますので、参考程度でお願いします。

 

 

三店方式おさらい

パチンコの三店方式は、ホール、交換所、問屋の間を同じ商品がぐるぐる回ることで成立してる。1,000円の商品なら、客は出玉250玉と交換し、交換所はそれを1,000円で買い取る。問屋はそれを1,000円+手数料で仕入れて、ホールは問屋から1,000円+手数料で仕入れる。

 

ホールは再び250玉と交換するから、ぶっちゃけ手数料を負担してるのはホールなんだよね。だからドンドン経営が苦しくなる。超低稼働になると手数料を負担できず、閉店となります。

 

ハッキリ言って、好きで等価をやってるホールは少ないよ。2.5円とは言わずとも、3円や3.3円、せめて3.57円になれば随分楽になる。スロットも等価じゃなけりゃ、設定に余裕を持たせられる。交換率を下げて経営を楽にしたい。

 

でも、交換率を下げたら等価のホールに客を奪われるんじゃないかと思うよね。実際、勇気を持って低換金にしたら客がいなくなったなんて話も聞くし。もしも県下一斉に交換率を下げてくれたなら・・・と、思ったホールさんは少なくない。

 

 

仕入れ値を下げるという発想

岐阜方式のキモは、問屋からホールへの仕入れ値を下げる点にあります。商品の流れを逆回転させてみよう。分かりやすくするため、手数料についてはひとまず除外だ。

 

まず、ホールは問屋から商品を仕入れるんだけど、「経営苦しいから、値引きしてちょーよ」と持ちかける。問屋との値引き交渉の結果、1,000円だった商品を900円で仕入れられることになった!

 

ホールは大満足だけど、問屋は困るよね。このままじゃ赤字だから、交換所に対して「1,000円も払えないから900円で買い取るわ」と通告する。

 

となると交換所の吉田さんは大慌てよ。生活していけなくなるから、パチ客が持ってきた、1000と書かれた商品を「マジ悪ぃ。今日からその商品の買い取り価格、900円に下げるわ」と言うしかない。

 

客は「ざけんな!」と怒るわな。市場価格1,000円の商品なのに、900円でしか買い取ってくれないんだから。

 

 

実は当たり前の話

たとえば私、ゴルフファイブで1万円のアイアンを買いました。でも気に入らなかったので、そのまま中古買取のゴルフパートナーへ持って行ったら、「おお、状態いいっすね。9,000円で買い取らせていただきますわ」と言われた。このとき、さっき1万円で買ったんだから1万円で買い取れよ! とは言わないよね。返品じゃねえんだから。そんなこと言ったら、他で売り先を探してくださいなと追い出される。

 

市場価格が1万円だからといって、中古屋は1万円で買い取る義務なんてない、ということ。

買い取り価格に不満なら、別の店へ行け、ということ。

他に買い取りをしてる店がないなら、あきらめろ、ということ。

これをパチンコの商品で考えてみよう、ということ。

 

 

価値減耗分の損を客が背負う

ホールは900円で商品を仕入れ、客へ250玉で提供する

客は商品を交換所へ持ち込み、900円を受け取る

ゴルフクラブだと納得できるのに、パチンコだと納得しがたいのは、しゃーない。でも、一般の消費財で考えたら、買い取ってもらうときは、新品と同じ価格というわけにはいかない。

 

ホールは今まで1,000円支払っていたものを900円で仕入れるため、経営は楽になる。かなり楽になる。その分を出玉で還元してくれるでしょう(超希望的観測)

 

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なぜ脱等価へつながるのか

大前提として、商品は市場価格で提供せねばならない。ホールは仕入れ価格を下げても、市場価格に変化があるわけではないため、客へは250玉で提供せねばならない。もしもこれより少ない玉数で交換した場合、等価交換違反の疑いが生じる。

 

900円で仕入れたからといって225玉で交換すると、市場価格より安く提供することになる。たばこの安売りをするような状態となり、問屋は納品を拒否することができる。このため、いわゆる業界等価(25玉交換)は不可能となり、脱等価が実現する。

 

 

運用上の問題点

ホールは今までと同じ商品を同じ250玉で交換する

交換所が、今まで1,000円だったのに、突然900円になる

客がブチ切れるため、理解してもらわねばならない。

ホール内で交換所の買い取り金額を表示できないため、周知は困難

岐阜は社会福祉協会でほぼ統一されてるから容易だけど、バラバラの県はどうする?

全国大手チェーンは独自の商品で業界等価を続けるのでは?

 

 

岐阜方式とは何なのか

商品の仕入値を下げることで事実上の脱等価を実現する

商品を扱う協会を巻き込むため、ほぼ県下一斉となる

県下一斉に脱等価できるため客離れを心配しなくていい

1,000円 → 900円というのは、3.6円交換(27.8個交換)相当

ホールは同じ商品を同じ玉数で提供するだけなので追加コスト0

経営は改善し、出玉還元も可能になる

 

客離れの根元とされるのが業界等価です。県下一斉の脱等価をノーコストで実現できるのが、岐阜方式といえるでしょう。

 

ただ。
先日も岐阜へ行きましたけど、名古屋駅から快速で20分位なんだよね。完全に同一経済圏。愛知県とは切っても切れない関係だし、かなり長い県境となってる。岐阜方式は岐阜だけだと厳しいように思う。少なくとも一つの県だけで終わる可能性が高い。

愛知県とセットになって実施できるなら、パチンコ業界を救う鬼の一手として、全国へ広まるんじゃなかろうか。

 

 

パチンコ発祥の地が、再び名誉の果実を掴むか?

岐阜方式の評価は後世の研究者に委ねるしかないけど、現実問題として、一般入賞口問題で等価交換ホールは死ぬと分かりきっているわけですよ。

 

仕入れ値を下げるのはベストではないかもしれないけど、少なくとも私には、(情けないことに)広域一斉脱等価のアイディアは思いつかなかった。組合員全体の利益を考える「組合の本旨」を見た思いだよ。

岐阜と愛知の動きには注目したい。そして、もしも他に、多くのホールを生き延びさせる方法があったら、ぜひ教えてほしい。「クソホールは潰れろ」というのは簡単だけど、真っ先にあなたの働く店、あなたの通う店が潰れるのだとしたら、それは悲劇以外の何者でもないのだから。

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Posted by ボンペイ吉田