【民事再生】マルホン工業の中の人と会ってきた(追記アリ)

メーカー, 新台レポート

稼働しないメーカーの末路は同じ・・・じゃない

マルホン工業にせよ奥村遊機にせよ、売れないから倒産したわけです。何で売れないかといえば、ホールが買わないから。何で買わないかといえば、低稼働機ばかり続き「どうせ稼働しないから買わない」となってしまったから。

 

笑ゥせぇるすまんの続編は良いデキだったという噂もありますけど、奥村遊機はダメという認識を覆せたとは思えません。かつては甘デジの奥村と言われたこともありましたけど、既にその武器も失っていました。

 

ブログ記事ごとのPVを調べてみたところ、「マルホンを復活させよう」に対して大きな数字が出ていました。一部に勘違いした変な人もいましたけど、こんな機械を作ってほしい、あんな機械をまた打ちたいと、ファンならではの純粋な意見に溢れていました。

 

そんな矢先、ニコニコ超会議の日工組ブースでソルジャーの後継機を展示していると聞き、驚きます。そんなものを抱えているなら、なぜ出さないのかと。一方で営業マンの多くを解雇したとも聞いていたので、出したとしても売る術はあるのか??

 

・・・(。-`ω´-)んー

 

考えても仕方ないので、突撃してみましたwww

 

 

現在のマルホン

吉田「はじめまして」

D「はじめまして。マルホンのDです」

 

iPhone-2015.06.22-10.41.16.000

吉田「Dさんはマルホン生え抜きなんですか?」

D「いえ。●●●●にいました」

 

( ゚д゚ )はい?

 

吉田「それ言っちゃっていいんですか!?」

D「問題ないでしょう。私の経歴ですし、誇りを持ってますし」

吉田「ぶっちゃけ、●●●●はホール業界の勝ち組ですよね。なぜメーカーへ? しかもマルホンへ?」

D「私は元々、業界への志望動機は開発だったんです」

 

 

マルホンの販売台数ランキング

D「事前の質問項目で頂いていた販売台数ランキングは、以下のとおりです」

 

1位・10万台・ファインプレー

吉田「貫禄の首位。今の羽根モノは1万台さえ遠いのに、10万台ですか」

D「25万台という説もありますが、増産分の統計が残っていないんです」

 

2位・5万台強・ウッドペッカー

Screenshot (14)

(´ ゚д゚)はい?

D「2004年の新内規をかなり早い段階で出せたんです」

 

3位・4万台・アクアポリス2

Screenshot

吉田「いやいやいや。Eアドベンチャーならまだしも、アクアポリス!?」

 

4位・3万台・銀と金

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D「個人的にはこれが一番意外でした」

 

5位・3万台・戦国KIZUNA

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吉田「これは稼働した記憶がある。レポートも高評価で発行した! 西陣・ソフィアの決戦と丸かぶりしましたっけ」

D「サミーの戦国乱舞ともかぶりましたね」

 

番外・2,000台・プリンセステンコー

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番外・不明・ミッドナイトラスベガス

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「あの頃」の機種がないようですけど・・・

D「ですよね。マルホンと言えばドットですよね。残念ながら、ソルジャー以前の機種については統計が無いんです」

 

 

マルホンの状況

??「吉田さん!」

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おおおお! Nさん! ご無沙汰してます!

(実際にはとても丁寧な話し口調でしたが、読みやすさ優先で、砕けた文体で書かせていただきます)

 

N「前から聞こうと思ってたんだけど、俺が残るって話、どこから聞いたの?」

吉田「や、や、それはさすがに言えません」

 

N「実は俺が残る話、吉田さんのレポート会員さんから聞いたのよ。これからどうしようって考えてたから、すげぇ驚いた。それから何日かして会社から電話が来てさ。吉田さん、どんだけ真ん中にいたの?」

吉田「いやいやいや。真ん中にいたのは私じゃなく、その情報提供者さんだと思います」

 

 

マルホン工業の歴史は?

N「元々は戦後、岸金属工業から始まってる。そこから経営難や色々あってマルホン工業になるんだけど、当時を知る人間がもう、ねぇ」

D「ほんの数名残ってるくらいですかね」

吉田「民事再生となった当日の様子はいかがでしたか」

D「3月10日の午後イチで本部からFAXが入りまして。翌11日は必ず会社へ居ろとの指示でした。当日は鮮烈でしたよ。いきなり大きな茶封筒を渡され、中に入っていたのは解雇通告。ある程度の覚悟はしていましたけど、やはりショックでした」

 

 

民事再生の原因は何ですか?

D「民事再生前の様子を思い出していただきたいんですけど、1ヵ月おきにババババっとリリースされましたよね。もう自転車操業だったんです。ミッドナイトラスベガス、パールセブン等々、ほんとギリギリ」

N「直接はやはり、部品代の圧迫よ。債権者リストを見てもらうと分かるんだけど、この支払いがどうにもならなかった。作った、想定した、売れない。作った、想定した、売れない。開発費だけが高騰していき、赤字も積み重なっていった」

 

 

マルホンの版権は偏っていたように思うが

N「というと?」

吉田「エサカマサミとか、男路線とか」

N「あー、喧嘩番長とか、武田鉄矢の龍馬とかね。あと武藤敬司」

吉田「うわ、あったあった」

N「そう。あと、すたこらレーサーって覚えてる?」

吉田「はいはい。あれは面白かった。羽根モノみたいなリーチがありましたね。ああいうオリジナル路線を・・・」

N「あれって実はタイアップで、オリジナルじゃないのよ」

 

(´ ゚д゚)え?

 

 

なぜ「あの頃」を捨てたのか

吉田「マルホンといえば」

N「三色ドットだよね、知ってる」

 

吉田「以前、マルホンの中の人からメールをいただいたことがあるんです。シャカRUSHをブログで取り上げてくれてありがとうございますと。『売れないよ』と言う人の多い環境であったと」

N「シャカの見本機が届いたとき、俺達営業は小躍りしたよ。そう、これがマルホンだって」

D「私も見た瞬間痺れました」

 

吉田「あれを否定する人がいたということは、彼らはホールのニーズ、ファンのニーズを全く知らなかったということですよね。信じられないことに、シャカシリーズのヒットを受けてもなお、最後まで他に三色ドットを出さなかった」

D「三色ドットの企画はあったんです。それこそファンキードクターみたいな」

吉田「おお、ファンキードクター! あれは今の規則でも作れるはず」

ファンキードクター BOX

D「でも、企画が出た当時の市場は液晶でしたよ、やはり。シャカの大反響を受け、ドットでシャカを超えられるのかという話になりました」

N「ぶっちゃけ、『シャカを超えられないなら、ドットはシャカだけでいいじゃん』ってなったんだよ」

 

(´ ゚д゚)はい?

 

なぜシャカしか出なかったのか

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D「信じられないでしょ。シャカを潰したくないと考えて、さっき言ったような、誰も買いたいと思えないような版権モノを作ったんです」

N「ドットはシャカでいい。液晶はKIZUNAがヒットしたし、やっぱり美麗だよねと。これで高コスト体質確定。しかもロット(販売数)が小さいから安くならない」

D「ヒット機種を作るのはもちろん大切ですけど、ヒットした直後に会社の体質が出てしまうんです。気付いたら、シャカの二匹目のドジョウにすがるしかない状況でした」

 

 

新生マルホンは何が違うのか

N「風通し。ボトルネックとされていた部分を解消できた。社員は1/3になったけど、その痛みを受け、変化することに躊躇がなくなった

D「風通しには縦横二つの意味があります。縦は、組織の上層部へ堂々と意見を述べられること。横は、営業と開発が共にスクラムを組むこと」

 

吉田「開発はまだ残ってるんですか?」

D「はい。今回大きく減ったのは営業です。もちろん開発もスリムになりました。拠点で残ってるのは東京と大阪のみですね」

 

吉田「え? 名古屋とか福岡は?」

N「ないよ」

吉田「はい? だって名古屋の会社ですよね??

N「デスヨ」

D「東京の営業は支店長を入れて4人。大阪は2人。ほんと、機械を売ろうと思ったら限界があります」

 

N「歴史のある会社だから、それだけドロドロと淀んでた部分がある。営業にせよ、本部にせよ。それを除こうと思ったら、これだけの荒療治が必要になる。吉田さんのブログは他メーカーの人も見てるでしょ? その人達に伝えてよ。こうなる前にできることはあるぞって」

D「開発も同じですね。作りたくても、売れなければ作れない。作れなければ、あれくらい俺でもできると主張したって無意味です。作れないんですから」

N「ここだけの話だけど、顧客だったホールさんの話を聞こうとしたら、『知るか! 俺はもうクビになったんだから教えねえよ!!』って言う人もいたしね。ギリギリの局面だと、人間性も出る」

 

 

現在の給料

D「あれ、それ聞いちゃいます?

N「減ったよ! 超減ったよ!

 

 

マルホンの未来

吉田「今後、シャカ以外のドットは?」

D「出ます」

N「出ます、出します、出させます」

吉田「Nさんが言うと嘘臭いんですけどwww」

 

N「いやいや冗談抜きで。今やっと会社が一つになったから、今後には期待していいよ。みんなの心に残っている『マルホン』が帰ってくる。直近は、民事再生前に作っていた機械を限界まで洗練させて出す。ファンはどういうときに楽しいと感じるのか、開発も営業も一つになって意見を交わしてる」

D「年に3機種と考えた場合、液晶は1機種が限界です。安価でホールに還元し、ホールはファンへ還元する。ポイントは打って面白いか面白くないかだけです」

 

吉田「野菜の王国とか、結構面白いんですけどね」

D「アレは惜しかったんですよ。民事再生前にも、マルホンを変えようという動きはあった。実現しませんでしたけど、野菜はその残滓です」

N「でも今ならできる。他メーカーがやらないこと・・・じゃなくて、やろうとしても絶対に企画が通らないことをやりたい。だって、うちは今、業界一風通しがいいんだから。武器を生かさない手はないでしょ」

 

 

どんなマルホンにしたいか

N「ホールに貢献できるメーカーとは何かを考え直す。ファンから注目を集められるメーカーにしたい。マルホンの台は何時間打っても面白いんだよと。うちは元々、直販比率は小さい。歴史的にも業者さんと共に歩んできた。初心に返るというわけじゃないけど、共に歩む意味をもう一度考え、営業に当りたい」

D「ホールの要望を叶えられる、小さなPB需要にも対応できるようにしたいですね。あとは、お金がないのを利点として、在野の絵師(イラストレーター)や、作曲家を使いたい

N「あと、営業マンは日本中に6人しかいないから、見つけたホールさんは大吉(笑)」

 

 

最後に、好きな機械は何ですか?

D「羽根モノならファインプレー。爆裂機ならビックリマンとスマイル

N「俺はぬーべー」

吉田「え? ちょ、他社機www」

N「いや、ぬーべー最高に面白いから。3日に1回は打ってるし。藤商事さんに伝えておいてよ。素晴らしい機械をありがとうって」

 

 

おまけ

というわけで、3時間にも及ぶロングラン取材は終了しました。書けないことも一杯・・・なかったな。ほとんど書いちゃった。再建中ということで、資本関係や資金繰りについてはNGでしたけど、って、あれ、Dさん、どうしたんですか?

 

D「言い忘れたことがあるんですけど、いいですか」

吉田「はい、どうぞ?」

 

D「汗流して、脂肪を落としといた方がいいですよ

 

・・・

・・・

・・・それ、私に対して? ホールに対して? それとも他メーカーに対して?

 

D「ナイショ★」

 

以上、マルホン工業への突撃取材でした。

 

リンク→【マルホン工業・民事再生手続き開始決定のお知らせ

 

 

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販売台数について情報をいただきました。別記事として掲載します